雪
その日は雪が降り注ぐ寒い一日だった。
彼女からいつものように連絡があった。「調子が悪い」と。私はなんと返信したのだろうか。記憶から葬り去られてしまった。
それでも彼女は起床したようだったので、私は待ち合わせ場所に向かうことにした。
しかし、数時間待っても待ち合わせ場所に彼女は来なかった。寒空の下ずっと外で待ち続ける様は、端から見たらマヌケに見えただろう。
寒い寒い誕生日だった。わざわざ、来なかったことを批難するつもりはなかった。私の勘違いだったのだから。
後日、私が会おうと提案したら、いやだという。なぜかと問えば、先日の返信が素っ気なかったからだと。さらに、別れようとも。
どうしようもなかった。意味がわからなくて、10日くらい全く動けなくなった。
半年くらい経って、彼女から連絡があった。彼女はとあるイベントに私を連れて行きたいようだった。
期待があった。あのときのことを謝ってくれるのではないか。そうすれば、やり直せるのではと思い、快諾した。
当日は何もなかった。
いや、あった。帰りの電車で、私にもたれかかる彼女に対して暗く渦巻く感情を抱いた。
しばらくあと、彼女から、以前のように頻繁に連絡してもいいかという旨のLINEがあり、いいよといったら彼女は喜んだ。あなたは最後に愛した人だからもっと話したかったと言われた。そのあと連絡が来ることはなかった。
わたしはおかしくなってしまった。半年間は引きこもらせてもらえた。しかし、それ以上は許されないみたいだった。
それから、大嫌いだった嘘をみんなに何回も、何回もついた。「もう大丈夫!」「立ち直ったよ」
嘘をつく度に自分が嫌いになっていった。